ハゲという事実
ハゲという事実は非常に厳しい現実である。
例えばこういう映画がある。テロリストが人質を楯にビルに立てこもり、政府に要求を突きつける。時間までに要求に応えないと一人ずつ人質を殺していくというのだ。 映画の設定上、序盤は観客の恐怖感をあおり、テロリストの非道を見せつけ、盛り上がる部分を作らなければならない。そのためにも犠牲が必要だ。
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人質には老若男女たくさんいるのだが、しかしここでいきなり、小さな女の子を犠牲にする、というのはやりすぎだろう。観客もテロリストへの反感を抱くより、映画制作者の品性を疑い兼ねない。やはり最初は男性だろう。白髪の老夫婦のうちのご主人の方はどうだろう。 だめだ。おじいさんも哀れを誘ってしまう。そういう演出を選ぶ場合もあるだろうが、それなりの理由が必要だ。
最初の犠牲は中年男性がそれらしくて良いだろう。複数のサラリーマンがいる中から選ぶことにしよう。そうだ、中に一人、頭の薄いサラリーマンがいるではないか。こいつがいい。撃たれて犠牲になるにはピッタリだ。
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というわけで、ハゲかけたサラリーマンは広いおでこに汗をかき、恐怖におののきながら、最初の犠牲となるのである。観客も納得である。
合掌……
ハゲという事実はこのように厳しいものである。
いいことが一つくらいないものかと考えてみた。あった。誰よりも先に雨が降ってきたことがわかるじゃないか。雨が降り始めたらダッシュで帰ろう。洗濯物がぬれるのは他所より少なくて済むはずだ。
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