ハゲという悲しい記号
ハゲにまつわる厳しい現実を直視しなければならない。実際、異性の獲得という面においてはハゲにはハンデがあると思う。
以前は絶望的に思えたものだ。(今はこの絶望的に思っていたことを間違っていたと思っている)
学生の頃、奈良へ行ったことがある。奈良公園で「鹿の角きり」という行事を見たのだ。繁殖期になると、普段はおとなしい鹿も、興奮しやすくなり、観光客の多い奈良公園では安全のためにも牡鹿の角を切るのだ。(おぼろげな記憶によるが)
このとき聴いた話によると、角を切られたオス鹿は、メスからは全く見向きもされなくなるということだ。オス鹿の角は男らしさの象徴で、角のない鹿はまるでメスのように見えるのかもしれない。少なくとも角を突き合わせてのオス同士の決闘はできないだろうし、そのことは弱さに通じ、野生の動物の場合、弱さは生死に関わる決定的なことなのだろうと想像する。
例えば戦国時代のような無政府・無警察(?)の時代に、弱い男と所帯を持っても、いつ夜盗や強盗が現れ殺されるかもしれないとなれば、女性は強い男に憧れるのが当然ではないか。
天然記念物で人にも慣れきった鹿とはいえ、野生の動物。生きるために、強いオスと家族関係を結ぶことはメスにとって重要な選択なのだろうと思われる。大きな角=強いオスという等式だ。大きな角はメスにとって魅力ある異性の記号に他ならない。
ひるがえって、人間の場合はどうなのだろう。髪はどういう記号なのだろうか。
髪は何を象徴するものなのだろうか。
ハゲは、ある種「精力絶倫」をイメージさせなくもないが、多くの場合、年寄りをイメージさせる。配偶者が年寄りであるということは、動物学的に想像すると、女性にとってはマイナスかもしれない。生命力にあふれる子孫を効果的に残すためには遺伝的にも、社会的に健康に育てるという意味でも、配偶者は若くて元気がいいに越したことはないのではないか。
(※筆者は動物学・遺伝学・社会学、また心理学のいずれも専門に学んでいるわけではありませんので、あくまで想像です。世間話のレベルでお読み下さい。また反論もあろうかと思いますが、反論に反論するほどの根拠も持ち合わせてはおりません。聞き流していただけることを切に希望する次第です)
髪の毛とはどういう意味を持つものなのだろうか。
日本で坊主になるということは、世俗を断つということでもある。仏門に入り、異性や権力から一定の距離を置いて、社会的にも別の次元、別の社会に入るという意味があると思われる。
中世では、武士が戦に負けたり、不祥事を起こしたりすると切腹させられることがあるが、仏門に入るということで、死を免れることもあったようだ。坊主になって仏門に入るということは権勢を競う競争社会からの引退を意味し、権力闘争の社会からは死んだという扱いに近いのだろう。
生臭坊主も多かっただろうとは思うが、基本的には坊主は異性関係を断つものであったろうと思われる。そのために髪を落とすことが重要なのだと思われる。
髪を落とせば、鹿の例ではないが、女性も男性も性的魅力をそぐことにつながるのではないか。尼さん好きという稀なフェチもいらっしゃるかもしれないが、何かの理由で、愛する女性が頭を丸めることになれば、その愛情が、形而上学的な愛に昇華することに気がつくであろう。
つまりあんまし「萌えない」ということである。萌えないけどやっぱし、好きとなれば、それは本当の愛情である。
髪の持つ意味というのは、そういうことなのだろうと思われる。ハゲにとっては過酷なものだ。
ハゲというだけで、条件反射的に意味が変わってしまうのである。イメージがガラリと変わってしまうということである。
どんなにハンサムな青年でもハゲではイメージが変わってしまう。もしも福山雅治がハゲだとしたら、イメージは一変する。その不思議は一体なんだろうと思うが、ハゲという記号のなせる業なのだろう。
ハゲと似た記号に「身長(ちび)」がある。
福山雅治がどんなにカッコよくても、実は身長が猫ひろしと同じであったら、イメージが激変してしまう(?)のと同じである。
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